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第1部 一章【財前姉妹】その5 第八話 ラーシャ

Author: 彼方
last update Last Updated: 2025-04-13 10:00:00

55.

第八話 ラーシャ

ツンツン

 カオリが赤伍萬のキーホルダーをつついてwomanを呼び出す。

《なんですか? カオリ》

(別にぃ。声聞きたいなと思っただけ)

《なんですかそれは。恥ずかしいな。もう……。神の無駄遣いはやめてください》

(なんか減るの?)

《無尽蔵ですけど……》

(今日はね、ラシャの付喪神さんの名前を考えようと思って)

《なんだ、用事あったんじゃないですか》

(一応ね)

〈……わ、私の…… 名前?〉

(そうですそうです。せっかくキレイな声してるから)

〈照れます〉

……………

(あれ? もしかしてwoman消えてない?)

《まだ居ますよ。考えてただけです。でもそろそろなんで消えるの面倒だからカオリが握ってて下さい》

(ハイハイ)

 カオリはキーホルダーを勉強机の電気スタンドから外して手でギュッと握る。

〈私はラシャでいいですよ。その通りなんだし〉

《……わかった! 『ラーシャ』とか。可愛くないですか!》

「それいい!」

《あっ! カオリ! 声出てますよ》

 部屋にはマナミは居なかったが奥の部屋でお母さんが仕事してた。

「カオリなんか言った~?」

「んーん。なんでもないの。サッカー観て応援してただけー! 『それーー!』『がんばれーー!』って」

「ふーん」

 こうして、ラシャの付喪神の呼び名はこの日から『ラーシャ』になった。

◆◇◆◇

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  • 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜   第1部 一章【財前姉妹】その5 第六話 泉天馬の1人旅

    53.第六話 泉天馬の1人旅 その頃、佐藤ユウはアマチュアの参加可能な麻雀大会にさっそく申し込みしていた。相棒のアンはまだ年齢的に参加できないし財前姉妹やミサトはプロ予選からの参加なのでアマチュアのユウと同じようには参加出来ない。プロはプロだけで別日に予選が行われて勝ち上がらなければならないのだ。なのでユウは麻雀部ではひとりきりの予選参加となった。(予選会場は上野かあ。遠いけど乗り換えはないから行きやすくて良かったあ) こうしてユウはひとり、夢への第一歩を踏み出すのであった。◆◇◆◇ 泉(いずみ)テンマは納得できなかった。 ここはフリー麻雀『牌スコア』 前日に成績が良くないスタッフを守れというミーティングをしたその舌の根も乾かぬうちに3卓6入りの指示を出すオーナーにテンマは辟易していた。3卓6入りとは。卓が3つ稼働していて、そこにスタッフが6人入って卓を回しているということ、つまりは2卓2入りで充分なのである。 なぜオーナーがそんな事をするかと言うとスタッフからもゲーム代は巻き上げるシステムだからだ。 店の人間であれゲームに参加してればゲーム代は払ってもらうというのがこの業界の常だった。しかし、だからと言って3卓6入りのようなあまりに露骨なことはしないのもまた経営陣の掟である。まして、前日のミーティングで負けてしまうスタッフを守りましょうとか言ったなら尚更だ。 テンマは決して負けていなかったが、このオーナーの汚いやり口が気に入らない。ミーティングごっこもうんざりだ。こんな所で働いてたら自分もオーナーの食い物にされるだけだと思っていた。 そんな中、それでも歯を食いしばって働いたが、ある日オーナーが自分の身内を3人連れてきて4卓8入りに伸ばした。いま、2卓丸で平和に回してる所からである。 テンマはついに堪忍袋の緒が切れた。「ヒカリさん。悪いけどおれ辞めます。いまはツイてるけどいつか不調が必ず来る。その時に全然守ってくれない店では働いていけない。今日までありがとうございました。今月の途中までの給料分は今レジから貰っていきますので」「おっ、おい待てよ泉!」 レジに85000円と記帳するとレジ金を引っこ抜いて泉テンマは去っていった。本当は90000円弱あるのは知っていたが、約5000円は突然辞めることでかける迷惑料として置いていくことにした。

  • 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜   第1部 一章【財前姉妹】その5 第伍話 オリジナル戦術書

    52.第伍話 オリジナル戦術書 その日、バイトから帰ってきたカオリは家に誰もいないことを確認するとキーホルダーをツンとつついた。「ねえwoman」《なんですか?》「マナミが伸び悩んでる感じがするんだけど、何かアドバイスできないかな」《ラシャの付喪神様は無言みたいですからね。ちょっと間違ってるとお知らせしてくれるだけで基本的にはマナミさん自身に任せてますよね》「何か効果的な練習メニューとかないの?」《そうですね、私なら……》「私なら?」《自分オリジナルの戦術書を作ります》「自分で?! そんなこと出来ないよ!! 未熟も未熟。私たちはまだ素人みたいなもんなのに!」《何言ってるんですかカオリ。あなたもマナミさんも今はもう競技団体に所属している、まごうことなきプロ雀士なんですよ。忘れたんですか?》「そ、それはそうだけどぉー」《やってみればカオリには出来るはずです。カオリは文章を書くのは得意じゃないですか。マナミさんにも書き方のコツを教えながら2人で作ってみたらいいんです。やり始めればきっと楽しいですよ。日記だってカオリは楽しそうによく書いてるじゃないですか》「例えばどんなことから書いたらいいかな」《そ……(あ、消えた) カオリは再びキーホルダーをツンとつつく。「で、例えばどんなことから書いたらいい?」《そう言うのはまず自分で考えるから意味があるんですよ、カオリ。でも、強いて言うならまずは基礎からじゃないですか? 私ならスタートは基礎から。確実で、それでいて出来ていない人もたくさん居そうな。そんな自分の中で一番気をつけてる『構え』から入るかもしれませんね》(ふむ、なるほど)「ありがとう、woman。マナミと一緒にちょっと考えてみる!」《これでマナミさんが一皮剥けるといいです

  • 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜   第1部 一章【財前姉妹】その5 第四話 人間読み

    51.第四話 人間読み その半荘は萬屋マサルのダントツだった。誰にも捲られることはないだろうという点差をつけてオーラスを迎えたマサル。そこに3着目につけている久本カズオがどう見ても2着すら捲らない安仕掛けで逃げを決めに来てた。 打点はおそらく2000点。あっても3900。満貫を狙えば2着を捲れるが、ラス目が千点差以内のすぐ近くにいるのでリーチ棒を出さない方針として考えた結果『ラス落ち回避のみを優先』とさせて安仕掛けで3着キープ狙いとなったのだ。 その時のカズオは(安いのは分かるように二色晒したからこれなら萬屋が放銃してくるな)とほくそ笑んでいた。 それを見たマサルはむしろカズオを徹底マークした。絶対にあがらせない。そう誓った。そして、長引いた末にラス目が追いついた。「リーチ!」 そこに対してマサルはカズオに現物の打⑦。「ロン!」 見事なメンタンピンだった。これをツモって裏乗せれば2着という仕上げ。「3900」「はい」「……2卓ラストです。優勝C席会社失礼しました。着順CDAです!」「2卓の皆様よりゲーム代いただきましたありがとうございます!」「「ありがとうございます!」」「それではゲームお待ちの2名様お待たせ致しました」 待ち席で待っていた人を卓にご案内して立番に戻るとカズオがマサルに質問してきた。「さっきのオーラス。僕の当たり牌持ってなかったんですか? 差し込みしてくると踏んだんですけど」「持ってたさ。いつでも差せた。4種類以上持ってたからどれかは当たりだっただろうな」「え? じゃ、じゃあなんで打ってくんないんですか」「態度が悪いからだ」「ええ?」「久本さんの考えていることはお見通しなんだよ。安い

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